先日、これから結婚を考えている薬剤師をしている女性から聞かれました。
産休・育休中は給付金がもらえるけど67%とか50%じゃないですか。やっぱり早く復帰した方がかいいですかねぇ?
薬剤師さんは高収入なのもあり、育児休業給付金をもらうことより給料をもらって収入を得たいと思ったようです。
う~ん、これは「なんとなく」で決めることは私はオススメしません。社会保障制度をちゃんと知り、計算したうえで決めるのがおすすめです。
でも結果から言えば
「キャリアを築く」「社会とつながる」ことが復帰の目的じゃなければ、給付金をもらってしっかり休んでもOK!収入に差はない。
です。それではざっくりの年収別に計算していきましょう!
産休・育休でもらえるお金を計算してみる
都市部か地方か、また会社の規模によって差はありますが、だいたい平均と思われる金額で計算してみます。
計算する前に知っておいてほしいこと
産休育休中は社会保険料も免除
産休・育休をとると健康保険・雇用保険から給付金がもらえることは知っていても、社会保険料(厚生年金・健康保険)が免除されることを知っているでしょうか。産休・育休で休んでいる間は社会保険料の支払いもない(※支払いを免除されているだけで健康保険は有効だし、厚生年金も将来受け取る金額に影響しません)ので、そこも加味しましょう!
保育料無償化は3歳児クラスから
少子高齢化対策として保育園無償化となりましたが、現時点で3歳児クラスからということをご存じでしょうか。「3歳の誕生日から」ではありません。「3歳を迎えた翌年4月から無償」です。0歳児クラスから入園すると0歳児クラス・1歳児クラス・2歳児クラスの3年間保育料はかかりますので、お気を付けください。
年収300万(月収20万+ボーナス3ケ月)
年収が300万円だった場合、いつも天引きされている税金は5万円弱くらいだと思います。
主な税金の内訳は、所得税4,700円 住民税9,750円 厚生年金18,300円 健康保険10,180円(40歳未満)。「なんでこんなに引かれるのよ(怒)」と思いますよね。その場合は下に書いてある年収600万円の場合の天引き額を見てみてください。幾分怒りが落ち着くかもしれません(笑)
さて、それぞれの場合において手元に残る金額を計算してみましょう。時短復帰はフルタイム8時間→6時間労働ということにしています。
月収:20万ー税金約4.3万 → 手取り15.7万円
育休:20万×67% → 手取り13.4万円(引かれるもの無し)
20万×50% → 手取り10万円(引かれるもの無し)
時短復帰での月収:15万ー税金約3万 → 手取り12万
どうでしょう。個人の感覚に差はあると思いますが、さっさと育休を切り上げて働く気になったでしょうか。。。
年収600万(月収40万+ボーナス3ケ月)
では収入が倍になったらどうでしょうか。さすがに600万も年収あったら、給付金もらうより働いた方が手元に残るお金多いんじゃないの?って思いますかね。。。
年収が600万円だった場合、いつも天引きされている税金は約10万円くらいだと思います。
主な税金の内訳は、所得税17,000円 住民税25,500円 厚生年金37,000円 健康保険20,000円(40歳未満)。計算してみるとすんごい払ってますね・・・私ニワトリは低収入のパートタイマーで高収入の女性を羨ましく思っていますが、高収入の人の税金の恩恵はしっかり受けているのでありますな・・・さて、では手取りを計算してみます。
上記調剤事務の計算と同様、時短勤務はフルタイム8時間→6時間労働としています。
月収:40万ー税金約10万 → 手取り30万円
育休:40万×67% → 手取り26.8万円(引かれるもの無し)
40万×50% → 手取り20万円(引かれるもの無し)
時短復帰での月収:30万ー税金約6.8万 → 手取り23.2万
どうでしょう。日本は累進課税制度をとっており、所得に応じて課税されるため、年収が倍になったら税金も倍。これを見て冒頭の薬剤師さんの「67%や50%しか給付金がもらえないなら働いた方が良い」という意見になる人がどれくらいいるでしょうか。
注)上記計算には育休中の手取りに「引かれるもの無し」と書いてありますが、前年度の収入にかかる住民税は育休中に支払うことになるので、その点はご了承ください(‘ω’) ただ、翌年度の住民税は育休期間分かからないようになります!
保育園の利用料も考えましょう!
上記を踏まえた上で、考えるべきは保育園の利用料です。保育園利用料は世帯所得、また各自治体によって異なります。詳しくは自治体のHPでご確認ください、なのですが。
いい資料がありましたのでs参考までに引用させていただきました。
認可保育園の費用は居住地や世帯所得、子どもの年齢等によって大きく差が出ます。統計局の調査によると、2歳児1人の認可保育園の平均保育料は3万7,755円※でした。
保育園の費用はいくら?平均費用と知っておきたい計算方法|ママ薬剤師のための【薬キャリmama】 (m3.com)
エリア 費用(月) 全国平均 ¥37,755 北海道札幌市 ¥39,600 東京都23区 ¥24,959 神奈川県横浜市 ¥38,000 愛知県名古屋市 ¥34,900 大阪府大阪市 ¥39,400 福岡県福岡市 ¥39,300
お分かりでしょうか。。。保育園に入れて仕事復帰した場合、この利用料金もかかるのです。もちろん保育園にかかる料金はこれだけではないことも追記しておきたいところです。利用料とは別に毎月集金がありますし、保育園の方がおむつの消費量も半端ないし、着替えもたくさん用意が必要です。
時短復帰した場合の手取り収入から保育園の利用料金を差し引いた場合と、育児休業給付金50%の金額を比較してみてください。。。働いても、育休でも手元に残るお金に大差ない、あるいは保育園に預けて働いた方が手元に残るお金は少ないかもしれないことをお分かりいただけたでしょうか。。。
働いても良い、休んでも良い。お金には大差なし。
結論。働いても休んでも、手元に残るお金は大差なし。保育料やその他経費を差し引くと休むより働く方がマイナスの可能性もあり。
計算してみて感じましたが、国は働いたらどれだけ手元に残るのかちゃんと計算したうえで、同等の金額を育児休業給付金として支給しているんでしょうね。「収入の半分は税金でとられる」というのを聞いたことがあるかと思いますが、まさに。育児休業給付金が50%になっても、働いて得る給料と手元に残る金額は同じくらいなのですから。。。(そしてその手取り収入の10%は消費税に消えていくという恐ろしい構造ですよ。)
ただ。キャリアを優先したい事情がある場合、もしくは子供と2人だけの時間が長すぎて働いていた方が気が楽というパターンもあると思うんです。そいういう場合はもちろんすぐに育休復帰するのは大アリです。
だって私自身が育休を終えて、保育園に子供を預けた時
保育のプロに子供を預けられる安心感、最高!給食の先生が作るバランスの取れた食事、最高!集団生活によりおむつ外れがはかどる、最高!
てなりましたから(笑)。
育休から復帰した時の解放感といったら筆舌に尽くしがたいものがあります。いや、本当にね、このご時世、子供と離れることで自分のメンタルを立て直せることってあるから。社会との繋がりって大切ですよ。初めて子供と離れて一人で行動すると、スーパーマーケットでさえ心の躍動が止まりませんから。
そんなこんなでね。みんな家庭のご事情もおありでしょうし、本当に人それぞれな事なんですが、社会保障制度をちゃんと知って選択できるといいなと思うんです。
最後に・・・今回の記事で計算ミス見つけた人は教えてください_:(´ཀ`」 ∠):!!!
また、今回は年収300万・600万で試算してみましたが、「月収○万、ボーナス無」とか計算してほしい収入モデルがおありでしたら、可能ならやってみるのでコメントくださいませ^^